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スペースXが有人宇宙船の打ち上げに成功! 何がすごいのか説明します

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ホリエモンチャンネル, ロケット, 堀江貴文

4回目の打ち上げに失敗したら、スペースXはなくなっていたかも

アメリカの「スペースX」が開発した有人宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げが、大成功したということでおめでとうございます。(日本時間の5月31日午前4時20分すぎにフロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられ約19時間後に国際宇宙ステーション/ISSに到着)

これは、民間の企業が一から作った宇宙船が、宇宙飛行士2名を乗せて宇宙に飛び立ったという歴史的な出来事です。

アメリカは、これまで有人宇宙飛行をスペースシャトルに頼っていましたが、2度の事故(1986年のチャレンジャー号の空中爆発、2003年のコロンビア号の空中分解)などによって中止になってしまいました(2011年7月にスペースシャトル計画終了)。中止になったあと、アメリカ政府はスペースX社を含めた民間企業に有人宇宙船を打ち上げさせようという方向に動きました。

スペースX社は2002年の設立です。そして、2004年にはロケットエンジンの燃焼試験に初めて成功しています。なぜ、こんなに早く燃焼試験に成功したかというと、アポロの月面着陸船に搭載されていたインジェクター(燃焼噴射装置)の技術を持っていた人たちがスペースXにいたからです。

そして、その約2年後に「ファルコン1」ロケットを打ち上げますが、3回連続して失敗します。イーロン・マスクは当時、「テスラ」という電気自動車のベンチャーも経営していましたが、そちらの業績も苦しく、資金がなくなりかけていました。そんな状況だったので「4回目の打ち上げに失敗すれば、スペースXはなくなってしまうかもしれない」ということで、みんな(幸運が訪れるといわれる)四つ葉のクローバーのロゴを胸につけて打ち上げに挑みます。すると、4回目で成功しました。それ以来、スペースXがロケットを打ち上げる時には四つ葉のクローバーのマークがどこかにあるということです。

スペースシャトルが退役した後、アメリカはISSに物資を宇宙輸送する手段がなくなってしまったため、民間に輸送を委託する「COTS計画」を発表しました。この計画の何が素晴らしいかというと、これからつくる宇宙船に対してお金を先払いするプログラムだったことです。そのためベンチャー企業が非常に使いやすい制度でした。
これによって、スペースXは「ファルコン1」を9本束ねた「ファルコン9」という大型の宇宙ロケットを作りました。そして、ファルコン9は1回目の打ち上げで大成功して、ドラゴン宇宙船という高性能な宇宙カプセルでISSへの物資の輸送を担うようになりました。

ロケットエンジンを9個つけて宇宙飛行士の安全をさらに向上させた

今回の打ち上げは有人宇宙船による「デモ2」です。前回の「デモ1」は無人宇宙船を打ち上げました。有人宇宙船はスペースシャトルの失敗の反省もあって、必ず打ち上げから帰還までのシークエンス(全行程)で、エスケープ(脱出装置)のバックアップ手段がなければいけないという厳しいルールがあります。ですから、脱出用カプセルには必ず脱出用ロケットが搭載されます。

アポロ計画の時の宇宙カプセルの先端には細長いアンテナのような突起物があると思います。あの突起物は個体ロケットです。万が一ロケット本体が爆発しても、その個体ロケットでカプセルを脱出させるという装置になっています。
一方で、スペースXの宇宙船クルードラゴンには、底面に「スーパードラコ」というロケットエンジンシステムが9個ついています。この9個のロケットエンジンが、いざというときにカプセルを脱出させる仕組みになっている。さらにいうと、このシステムはパラシュートで宇宙空間から地上に降りてくる時に、海に着水すればある程度、衝撃はやわらげられるんですが、地面に着陸する時、噴射して衝撃をやわらげるシステムになっています。

そして、ロケットエンジンが9個あるのが非常に重要で、1個壊れてもなんとかなる。2個壊れても最悪なんとかなるくらいのシステムになっている。これがクルードラゴンの非常に優れたところだと思います。

今回のクルードラゴンの打ち上げは普通のロケットの打ち上げとちょっと違ったはずです。普通、ロケットの打ち上げというと垂直に近い。しかし、今回は水平距離をある程度、保つ飛行になっていました。これもロケットに乗っている宇宙飛行士の命の安全を保証するシステムです。

あと、宇宙船の中もカッコ良かったですね。昔の飛行機や宇宙船はトグルスイッチ(物理スイッチ)などがたくさんあった。しかし、それを全然見かけませんでした。タッチパネルで操作できるようになっているんだと思います。最新式の飛行機や宇宙船の多くはそうなっています。

さらに、このクルードラゴンは内部のスペースが大きく取れる。そのため、今回2名しか乗っていませんが、マックスで7名乗れます。宇宙飛行士4名に観光客3名を加えて7名で宇宙に行けるんです。これで、宇宙旅行も身近になるんじゃないでしょうか。

次回の打ち上げでは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から野口聡一宇宙飛行士がこのクルードラゴンに搭乗されるかもしれないということで、それも期待したいと思います。

ということで、いってらっしゃい。

これは「ホリエモンチャンネル」を記事化したものです。
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