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【サッカー日本代表新監督】森保一×ホリエモンが語る、日本サッカーの未来(前編)

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本日7月26日の日本サッカー協会の理事会で、次期サッカー日本代表監督への就任が決まった森保一氏。

ホリエモンが2016年に出した著書『なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの?』から、特別に森保監督(※対談当時はサンフレッチェ広島監督)とホリエモンの対談をお届けします!

与えられた人材を組織として膨らませる

堀江 現役はいつまでされていたんですか。

森保 2003年シーズンまでです。35歳で引退しました。

堀江 以来、ずっと指導者ですか?

森保 そうですね。最初はコーチ業からスタートして、監督になったのは12年からです。

堀江 以前、宮本恒靖(ガンバ大阪ユース監督)さんと対談させてもらった際にも『S級ライセンス』の話が出ましたが、実際に監督をされている中で指導者ライセンス制度の必要性は感じていますか?

森保 細かな部分で考慮するべきところはあるかもしれませんが、必要か否かで判断するなら、僕は監督としての基本的な考え方を学べたという意味で、あってよかったと思います。ただS級は、カリキュラムが結構大変で、1年かけて取らなければいけない現状もありますからね。また、今の日本の指導者ライセンス制度って、僕らの時代とは違ってB級、A級、S級と段階を踏んで取得しなければいけないという規約もあるので。そのへんは、Jリーグの出場歴や日本代表歴に応じて、見直してもいいように思います。

堀江  森保さんが指導者ライセンスを取られた時代は仕組みが違ったんですか?

森保 僕らの時代は、代表歴やJリーグの出場歴でB級からS級に飛び級ができたんですが、今はそれができないので大変だと思います。だから例えばカズさん(三浦知良/横浜FC)ほどのキャリアの持ち主が指導者ライセンスを取りたいとなれば、段階を踏まずに飛び級でS級を取得できるような仕組みがあってもいいのかも、とは思います。

堀江 カズさんと言えば、僕は未だにフランスW杯代表メンバーから落選したことに…つまりは当時の岡田武史監督(FC今治代表取締役会長)に一物があって(笑)。なんであんな判断をしたんだろう、みたいな。理詰めで判断するのではなく、もっと感情だとか、エモーショナルな部分でのプラスアルファを見ても良かったんじゃないかと思っていました。森保さんは今、監督をされていますが、将来的には日本代表監督になる可能性もありますよね。そうなれば当然、岡田さんのように選手選考の決断を迫られることもあると思うのですが、ご自身が岡田さんの立場だったら、というようなことを考えたことってありますか。

森保 具体的にはないですけど、代表監督であろうと、チームの監督であろうと、『監督』という仕事は常に、いろんな決断をしなければいけませんからね。選手全体を見渡して、どういう組織でエネルギーを作っていくのか、よりよいチームを作っていくのかを考えなければいけない。
それは当時の岡田さんもきっと同じで、カズさんがどうこうという部分は抜きにして、グループとして最大限の力を発揮できるメンバーを選んだんだと思います。実際に僕もいま、サンフレッチェ広島の監督を預かっていて、フィールドの選手が27人、ゴールキーパーが3人、在籍していますが、試合ではそれを30分の18人にしなければいけませんからね。その際にはまず第一に「グループとして最大限の力を発揮できる選手」ということを軸に選手を選んでいます。

堀江  よく「フラットに選手を見る」と話している監督さんがいますが、そこは本当にフラットなんですか?

森保  フラットといいつつ、構想はあるし、序列はありますよ。でも、それはいつでも変わるものという意味ではフラットというか、ニュートラルに選手を見るようにしています。

堀江 僕なんかの商売はその辺がすごく簡単なんですけど、スポーツのチームを作るって、ファジーな要素があり過ぎて、よく決められるなって思うんです。だって、選手は世界に何万、何千万といるじゃないですか? しかも選手のバイオリズムとか、人間だからモチベーションも絡んでくる。
また、さっきおっしゃったようなグループの中でどうかということも考えなければいけない。となれば、ピッキングするのはものすごく大変な作業だと思うのですが、どうやって当たりをつけるんですか? 外国籍選手なんて、本当によりどりみどりだと思うのですが。

森保 選手のピッキングというか、選手を揃えるのは、クラブの仕事ですからね。もちろん、僕も監督としてリクエストは出しますけど、うちの場合、予算が限られているので、自分が本当にほしいとリクエストした選手は、ほぼ取れません(笑)。
つまり与えられた環境と与えられた選手で勝つのがサンフレッチェの現状だと思っています。浦和レッズやFC東京、名古屋グランパスや鹿島アントラーズなどある程度、予算に余裕があるチームならまた話は違ってくるはずですが。

堀江 サンフレッチェの場合、監督はそこまで選手選びに口を出していない、ということですか?

森保 『選ぶ』段階では意見はしますけどね。他のクラブの選手を見て「あの選手をあたってほしい」というリクエストをすることもあれば、逆にクラブの強化部から「こういう選手がいるけどどうですか?」という相談を受けて、フィーリング的にいいなと思った選手なら「お願いします」ということになることもあります。ただ、そうは言っても予算がありますからね。ほしいと思った選手が全て獲れるとは限らないという現状はあると思います。

堀江  基本的に、世界中でプレーしている全ての選手が獲得対象ですか?

森保 サンフレッチェの場合は、そうではないと思います。予算的に海外の選手は、日本人の『海外組』も含めて高額なので。

堀江 つまり、予算はそれほど大きくないと?

森保 正直、近年で3回優勝しても、そこはなかなか膨らんでいかないということがわかっているので、自分としては与えられた選手でやるという考えが基本にあります。それにクラブとしても、育成型クラブとうたっていますからね。
僕自身もそうでしたが、無名なところからチームの戦力に育てて試合に出す、とか、日本代表に選ばれる選手の育成を目指しているからこそ、移籍選手の獲得にしても、何億もかかるキャリアの豊富な選手を獲得するよりも、うちのコンセプトに合って、まだ伸びしろもある、そこまでお金のかからない選手を獲得している現状があります。

堀江 でもそれにも加えて毎年のように、いい選手がどんどん出て行っちゃっていますよね。あれって、チームにお金が入ってくるんでしたっけ?

森保 複数年契約を結んでいる選手の、期間内の移籍であれば、違約金が発生してクラブにお金が入ってくるのですが、いずれの選手もちょうど契約が切れるタイミングでチームを出ているので、これまで移籍した選手からはほとんどお金は入ってきていません。

堀江 でも、違約金が取れないのなら、そのクラブは『育成型クラブ』とは言えないのではないですか?

森保 その通りです。だからこそ、ビジネスで考えれば、そこはクラブが成長しなければいけないところだと思いますし、これから先、僕が監督をしている間は、そういうことがないようにしていきたいと考えています。

堀江 それは複数年契約をするということですか。

森保 そうです。もちろん、移籍は個人の自由だし、認めますが、出て行くのなら違約金を落としていってもらうという形を作らなければ、クラブ経営としても成り立っていかないと思うので。

堀江 つまり、現状、クラブの経営としては、あまりうまくいってないということですね。本来なら、もし選手を手放すならそれで儲けたお金で新たな選手を強化するなり、育成面にお金を費やすなりしなければ意味がないはずですが、そこができていないと。

森保 うちもそこを目指しているとは思いますが、近年の状況を見る限り、できていないと思います。例えば、他の某クラブを見ていると、今年で契約が切れる選手や、切れたタイミングで移籍する気が満々だなっていう選手に関しては、契約期間内に強引に売るとか、あるいは極論、起用しないということもやっていかなければ現状は変わらないのかなとは思います。

堀江 でも結果、そうやって選手を抜かれても勝てちゃうから、それでヨシとされるんじゃないですか。だって、そういう事情がありながら4年で3回、Jリーグで優勝しているんですよね。だから経営者もさぼっちゃう。

森保  確かにこれまでは勝てていますが、じゃあ、これからはどうかと考えたら保証はないし、クラブの在り方としてはやはり、移籍をするならお金を発生させていかないとクラブ規模も変わらないと思います。

堀江 サンフレッチェがそういう現状で勝てているのに、どうして他のクラブはそれを学ぼうとしないんですか? 僕が経営者なら研究しまくると思うんですよ。特に同じくらいの予算規模でやっているクラブなら、こんなにいいモデルケースが目の前にあるんですよ。見ても分からないこと、調べても分からないことなんて、そうそうないですからね。

森保 僕が大して特別なことをやっていないからじゃないですか(笑)。

堀江 いや、結果が出ていますからね。でもそうやって考えても、やっぱり経営者って賢い人がそんなに多くないんです。言葉は悪いですが、言ったら経営者なんてバカばかりで…これ、メディアでもよく言っているんですが、バカというのも、いい意味のバカと、悪い意味のバカの2種類あって、前者は後先考えずにリスクを恐れずにチャレンジできるという意味のバカ。後者は本当に知識と教養がないバカなんですが、これが結構、同居している経営者って多いんです。ある意味、知識とか教養がないから、バカでいられるんだと思うんですけど。

この間も『Qさま!!』っていうクイズ番組に出演した際に、すごく学歴の高い博識芸能人のブロックと、先生ブロックと、社長ブロックの3つに分けられて、僕は『社長ブロック』に入れられたんです。だから思わず、開口一番「めっちゃ楽なグループに入れていただいて、ありがとうございます。経営者ってバカばっかりなので、楽勝です」って言ったんですが、案の定、ブロックごとの予選では僕が20問中15問ぐらい正解して、楽勝で決勝に進出できました。事実、あまりちゃんとした経営をしていない経営者って多いですからね。

特にスポーツ業界はレベルが低い。プロ野球界だって、04年に楽天の参入があってガラリと変わりましたが、僕がそれ以前に参入を考えていたときにいろいろと調べたら、やるべきことなんて1つもやっていませんでしたからね。例えば、球場との一体経営だって、アメリカのメジャーリーグなら当たり前にやっていることが国内では全くベンチマークされていなかった。メジャーリーグっていま、ほとんどが天然芝の球場だし、エンターテイメント施設もたくさん作って、野球が別に好きじゃない人でも楽しめる『ボールパーク』になっているんですけど、そんなベーシックなことでさえ、当時の野球界はどこもやっていなかったですからね。

森保 要は、日本のプロ野球は公共の施設で競技だけやっていた、と。

堀江 みたいな感じです。そう考えると、プロ野球はこの10年でものすごく進化しつつあるんですが、逆にJリーグは全く進化していない実態があって。Jリーグのアドバイザーに就任する前に、『サッカーマガジンZONE(編集部注:16年6月で休刊)』という雑誌でサッカー経営論みたいなのを連載していた絡みでいろいろと調べたら、Jリーグは時間が止まっていて、これはヤバいなと気づきました。でもここにきてようやく変わり始めましたよね。以前から僕が言い続けている、築地の跡地をスタジアムにしましょうって話も結構、具体的に動き始めましたしね。

・・・(続く)

対談全編ご覧になりたい方は、書籍『なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの?』ぜひご購入ください!

森保監督の他にも、ロシアW杯メンバーの川島永嗣選手や宇佐美貴史選手もホリエモンと対談しています。更には遠藤保仁選手、宮本恒靖さんも!要チェックです!

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