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ホリエモン「宇宙はITとは比べものにならないほど最適解が見えない領域」

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11月4日発売の「文藝春秋オピニオン 2017年の論点」にホリエモンが登場。
イーロンマスクの宇宙開発について、語った内容を少しだけご紹介!

宇宙開発、電気自動車をリードするイーロン・マスクは何者か

二〇一六年九月、イーロン・マスク氏が創業したスペースXの打ち上げロケット「ファルコン9」が試験中に爆発したが、宇宙開発に失敗はつきものである。むしろ民間のベンチャーが九回連続で成功している事実こそ注目されてよい。スペースXは地球低軌道へ五十三トンという搭載能力を持つ「ファルコンヘビー」や有人宇宙船「ドラゴンV2」も完成間近だし、無人カプセルの火星到着が一八年に実現したとしても、何ら不思議はないというところまでこぎつけている。

マスク氏は次々に起業し成長させては売却して次の新事業に資金を投じるシリアル・アントレプレナーというタイプの事業家だ。インターネット決済で成功したペイパルを売却し、その資金を投じて〇二年にスペースXを創業した。二年後には電気自動車(EV)ベンチャーのテスラモーターズに出資して会長に就任し、太陽光発電のソーラーシティにも出資している。未上場も加えれば、はるかに多くの挑戦をしているはずだ。

成功した米国のITベンチャー創業者は共通して、宇宙開発や自動運転EVに投資する側に回っている。ジェフ・ベゾス(アマゾン・ドットコムCEO)もブルーオリジンを立ち上げロケット打ち上げ実験に成功したし、ラリー・ペイジ(グーグル共同創業者)は惑星探査ベンチャー、プラネタリー・リソーシズに出資。グーグルは自動運転車も開発している。

偶然ではない。歴史を俯瞰すると、「これがあっちにつながっていくからこの蛇口をひねるとドカンと来そうだ」という勘所がわかる。社会を変革しようとする先に見える地平は同じなのだ。残念ながら日本の起業家の多くはボンクラで、未来像を持ち合わせていない。ビジョンがあり資金力と実行力を兼ね備えているのは、孫泰蔵(ガンホー創業者)と本田圭佑(ACミラン所属)くらいだ。

かつてIT革命に新興勢力として携わった頃の私たちは暗闇の下で星明かりを頼りに航行する船のようなもので、プログラミング言語はCかPerlか、データベースは何を使えばよいのか、一つ一つ手探りしながら積み重ねるしかなかった。今のIT起業家は既に正解が見えたところから出発していて、昼間にGPS片手に目的地に向かっているようなものだ。

宇宙はITとは比べものにならないほど最適解が見えない領域だ。技術者も必要で、全く新しい挑戦だからスタッフや資金集めも一筋縄ではいかない。

十年程前、米グーグル本社で開かれたXプライズ財団の会合で、まだ無名のマスク氏と会ったことがある。パリッとしたビジネスマンではなかった。印象に残ったのは、創業間もないスペースXでロケットの燃焼実験を成功させたと聞いたからだ。しかもその後も次々と結果を出した。宇宙開発を産業化する政府の流れに乗ったとはいえ、途轍もない速度である。

その速さを可能にする一つの理由は、マスク氏が〈背水の陣〉で臨んでいることだ。彼はペイパルをすぐに売って次に進んだが、ITの未来を見切ったところで私もさっさと会社を売ってしまえばよかった。勝負をものにするのに運がいいのか、特別な処方箋を手にしているのかはわからない。ただ、彼が好機をものにするにあたって、「技術オタク」であったことは無関係ではないだろう。

技術への深い知識と愛情

現在使われているロケットエンジンは「ファルコン1」の一段目だった「マーリン」だが、実はアポロ計画の月着陸船のエンジンのために自動車部品の米TRW社が開発した技術を改良して造られていた。ピントル型インジェクターと呼ばれるその技術は、月面降下のため吹かしたり弱めたりの出力調整ができる技術の精華のような代物だ。だがアポロ熱が冷め、米国が国際宇宙ステーションと往復するスペースシャトル開発へと舵を切ると、傍流に追いやられた。TRW社が軍需産業大手ノースロップ・グラマンに買収される際、ロケット部門の売却話に手を挙げたのがマスク氏で、マニアの集まりで耳にした情報に反応したという。技術への知識と愛情を感じる逸話だ。

ちなみにそのチームが最初に手がけたエンジンが「ケストレル」。〇八年にファルコン1が最初に成功した際の二段目にあたる。傍流技術を活かして開発費抑制に成功しただけでなく、ロケット再利用に向けた技術の基礎となっている。  専門用語のエンジン名をあえて記したが、「マーリン」や「ケストレル」は第二次大戦中に英国のロールス・ロイス社が開発し、戦闘機にも搭載されたエンジンの型式名である。これも技術マニアでなければ出てこないネーミングだろう。

……続きは、「文藝春秋オピニオン 2017年の論点100」で全文が読めます。

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